「こがな依頼一生に何度もあるもんじゃないけん精魂込めて仕事したけど、ばりおもしろかったわい、たいぎいけどの」
ドワーフは魔女に言った。
「おまえさん以外には扱えん杖になっとるけん、膨大な魔力をなんぼでも保持できるような杖いう依頼じゃったけんのぉ。
まあ御託はええんよ、はよ持ってみ、どんなもんか言うてくれ」
自分の仕事の評価が知りたくて――もちろん素晴らしいものを仕上げたという自信があるが――魔女に杖を持つよう急かすドワーフに促されて魔女は杖を手にした。
「――最高の杖ね!流石だわ!ありがとう!」
魔女は惜しみなく賛辞を贈る。
「軽く魔力を流してみたけど伝導率もいいし保持の具合もよさそう、とてもしっくりくるわ」
「そうじゃろが。素材もじゃけど、わしの腕がええんよ。ここの持ち手のとこの螺旋の加工がミソでな、……」
上機嫌になったドワーフと魔女はひたすら杖について語りまくった。竜は、こういうときに口をはさんでもろくなことにならないと学んでいたのでひたすら二人の話を聞きながら待つのだった。